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2011-07-02

「十三人の刺客」

監督:三池崇史
出演:役所広司 山田孝之 伊勢谷友介 松方弘樹 伊原剛志 沢村一樹 古田新太 高岡蒼甫 六角精児 稲垣吾郎 市村正親など

感想
出演は上記に挙げた通り、非常に豪華で、脇役の松本幸四郎や吹石一恵、岸部一徳なども良い。日本の映画は役者だけが豪華なのに、中身が薄っぺらなものが多すぎるが、これは中身もちゃんとしたものである。

前半は斉韶の非道や両手両足を切られた少女の容姿など、見るに耐えられないものがあるが、徐々に娯楽時代劇として楽しめる。この映画では斉韶を暗殺するために雇われた武士たちは勝つためには手段を選ばないが、死ぬ気で戦っているので、その点は武士らしいと言えよう。

役所広司はもちろん、山田孝之、伊勢谷友介、松方弘樹、伊原剛志が良い味を出している。特に伊原剛志の殺陣シーンは非常に印象的だ。あと役所広司演じる島田新左衛門と市村正親演じる半兵衛の対比が見所だ。新左衛門は反骨的な武士だが、半兵衛は主君に忠実な武士と、お互い正反対なので、敵として戦い合わなければならないのだが、両者とも誇り高き武士であることは間違いない。半兵衛を斬ったが、彼の死を何とも思わない斉韶を非難する新左衛門が印象に残る。

それにしても落合宿庄屋を演じた岸部一徳が非常に滑稽だ。彼が人にへつらうところがおかしく、また彼が伊勢谷友介演じる小弥太にレイプされるところは笑わずにいられない(笑)。岸部一徳にはやや役不足なようだが、彼じゃなければ笑いをとれなかっただろう(笑)。

個人的に吹石一恵はあまりきれいだとは思わないのだが、この映画での彼女はきれいだった。彼女は眉が濃いので、時代劇の女性を演じるのは良かったと思う。結末がよく分からないのだが、その後、新六郎(山田孝之)が彼女と幸せに暮らせることを祈った。

2011-07-01

「座頭市」

監督:北野武
出演:ビートたけし 浅野忠信 夏川結衣 大楠道代 ガダルカナル・タカ 石倉三郎 柄本明 岸部一徳



感想

この映画の監督は北野武だが、台詞が多い。従来の彼の映画は台詞が少ないので、退屈してしまうことがあるが、その点でこの映画は一線を画していると言えよう。しかし、この映画には笑えるところもあるので、その点は彼の映画らしい。


ビートたけしはもちろん、大楠道代や岸部一徳が良い味を出していた。ガタルカナル・タカも意外に良かった。特に岸部一徳は悪役を演じているのだが、子供を笑わせようとする一面がある。これには思わず笑ってしまい、その悪役がありふれたものではなく、人間味のあるところが非常に斬新的だ。


ガダルカナル・タカが登場した瞬間は不安を覚えたのだが、彼が雰囲気を壊さない程度に笑いを取っていたので良かった。彼が男三人組から叩かれるところはツボにはまる。


映画のあらすじは分かりやすいので、退屈しなかった。全体的に殺陣のシーンが多いのだが、それほど残虐ではないし、雰囲気が暗いわけでもない。笑えるところもあるのだが、メリハリがついているので、白けることなく最初から最後まで見ることができた。


この映画が良かった思う理由は、思ったほど浅野忠信演じる用心棒が市にとって大きな存在ではなかったところだ。彼は妻が病に冒されており、ただの雇われの身であって、根っからの悪人ではない。もしも彼が市にとっての最大の敵であったなら、この映画は大したものではなかっただろう。


ちなみに近年の日本映画は役者だけが豪華なのに、中身のないものが多い。しかし、この映画は違う。一見、柄本明の役柄は大したものではなさそうだが、最後の最後で見事に騙されてしまった。この映画は役者だけが豪華ではない。中身もちゃんとあって、登場人物一人一人が入念に描かれている。この映画が海外でも評価されているのは分かる気がする。


最後のタップダンスが印象に残る。個人的にミュージカルは好きじゃないのだが、あのタップダンスは素晴らしいと思う。ただ1つ引っ掛かるのは、市が金髪である点だ。まあでも気にしないことにしよう・・・