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2011-05-25

瞳の奥の秘密 El secreto de sus ojos

あらすじ
刑事裁判所を定年退職したベンハミンは、有り余る時間を使って、彼の人生で未だ忘れることの出来ないある殺人事件を小説にしようと決意する。そしてかつての職場を訪ね、当時の彼の上司で、今では検事に昇格している女性イレーネと再会を果たす。2人が関わった事件が起きたのは、25年も前の1974年。銀行 員の夫リカルドの最愛の妻が自宅で暴行殺害された事件。やがて捜査は暗礁に乗り上げ、そのまま1年が経った頃、ベンハミンは駅で容疑者発見に執念を燃やす リカルドを偶然目にする。その姿に触発され、イレーネとともに捜査を再開したベンハミンは、ついに事件の核心へと迫るのだったが…。

映画を見る前に(*ネタばれ注意
1974年、アルゼンチンでは当時の大統領のホアン・ペロンが死去し、彼の妻だったイザベル・ペロンが副大統領から大統領に昇格した。しかし、彼女は困難な政局を乗り切れず、1976年にはビデラ将軍のクーデターにより失脚してしまう。

この映画はペロン大統領の死去が背景にあって、当時アルゼンチンは政局が不安定になっていて、おそらく超法規的措置によって犯罪人が野放しにされたと考えられる。だからこれが理由で、ベンハミンは容疑者を起訴できなかったと考えられる。この映画はアルゼンチン人以外にはわかりにくいところがあるので、この映画を観る前にアルゼンチンの歴史をかじったほうが良い。

感想*ネタばれ注意

映画自体は非常に良いものだと思うのだが、前述のようにわかりにくいところがいくつかある。しかし、作品の完成度は高いと思う。特にビジュアルが良く、人物と背景の対比(コントラスト)が良く、ビジュアル的な面は非常に素晴らしいと思う。またリカルドの瞳の描写が印象的で、この映画の伏線という大事な役割を果たしている。

もうひとつ印象に残るのはエレベーター内でイシドロがベンハミンとイレーネに銃を見せることで2人を脅かし、挑発するところだ。たとえ無実の罪を着せられたとしても、あのような真似はしないだろう。この時点で彼が犯人だという確信が持てた。 なお話の結末については割愛させていただきます。